犬の歯垢が歯石になる原因とは?歯石除去の方法やおすすめの対策!
犬の歯垢がひどい原因
歯周病は犬によく見られる生活習慣病です。
ここではその原因について解説していきます。
歯垢・歯石とは
『歯垢(しこう)』とは、口の中の菌が歯の表面で繁殖したもので、プラークとも言われています。
この歯垢をそのままにしていると、唾液の中のカルシウムやリン酸、または歯周ポケットの滲出液(しんしゅつえき)によって石灰化してしまいます。
これを『歯石(しせき)』と言います。
犬の歯垢が多い理由
口の中に食べ物のカスが残っていると菌は増殖繁殖しやすくなります。
歯垢は歯磨きをすることで対策できますが、愛犬の歯磨きを毎日している人は多くないでしょう。
また、ウェットフードを与えている場合、ドライフードよりも歯に付着しやすいため、歯垢が多くなる原因になります。
犬は歯垢が歯石になりやすい
犬の唾液はアルカリ性に近いということもあり、歯垢から歯石になるまで3〜5日程度と言われています。
人間の場合は2週間ほどなので、いかに犬の歯垢が歯石になりやすいか分かります。
また、歯石には歯垢が付きやすいということが、さらに悪循環を引き起こしています。
歯石は一度付いてしまうと自然に取れるというものではなく、気が付いたら愛犬の口の中が歯石だらけということにもなりかねません。
歯石をそのままにすると
歯石をそのままにしておくと、口臭がきつくなるだけではなく、歯肉炎や歯周病のリスクが高まることが知られています。
歯肉炎は、歯垢の細菌が原因で炎症を起こすことですが、放置していると歯周病になってしまい、炎症が歯や歯を支えている骨にまで及んでしまいます。
そして重度になると歯が抜けたり、膿が溜まってでてきたりします。
また、細菌や細菌の出す毒素が全身に回り、腎臓や肝臓などの各臓器にまで影響を及ぼしてしまうこともあるのです。
▼犬の歯周病についての記事はこちら
歯石除去の方法
愛犬の歯石除去を飼い主さん自身が自分で行うのは困難です。
ここからはどのように歯石除去をするのかを紹介します。
動物病院で取ってもらう
まだあまり歯石が付いていない状態であれば、歯石を溶かす成分が入っている歯磨きをすることで、ある程度は歯石が付くのを防ぐことができるでしょう。
しかし、たくさんの歯石が付いてしまっている場合、自分で除去することは困難なので、動物病院で取ってもらうことになります。
病院で行う歯石除去
病院で歯石取りをする場合、ほとんどの病院では施術する際に犬が暴れると危険だと考えて、全身麻酔をかけることが前提になっています。
そして超音波スケーラーという、振動と水圧で歯垢や歯石を除去する器具を使用して、歯石を取り除いていきます。
歯肉炎になっている場合
歯肉炎になってしまっている場合は、歯の表面を研磨して歯垢の付着しにくい状態にするというような処置をします。
歯周病になっている場合
歯周病を発症している場合には歯肉の内側の汚れ、細菌による毒素で壊死してしまった部分を取り除き、歯の根を固く滑らかにします。
こうすることで歯垢が付きにくい状態となり、最後は研磨して、炎症のある部分に抗生物質を注入するという流れになります。
また、場合によってはメスで歯肉を切開することもあり、このような処置内容からも、全身麻酔なしでは難しいと考えられています。
全身麻酔のリスク
全身麻酔は、若く健康な犬にとってもリスクがまったくないとは言い切れません。
高齢の犬や、持病がある場合はさらにリスクが上がることになるでしょう。
歯周病は骨まで溶かす恐ろしい病気なので、すでに発症している場合には早めの治療が大切になってきます。
トリミングサロンの歯垢除去
トリミングサロンでも無麻酔で歯垢の除去をしてもらえることがありますが、下記のようなデメリットがあります。
- 麻酔をかけないため、歯肉炎などの痛みがある場合や、犬が嫌がる場合はできない。
- 持病や年齢によって除去を断られてしまう。
- 歯の裏側など、隅々まで除去してもらうことは難しい。
- 一度に全ての歯石は除去できない など
麻酔をするのがかわいそうなどが理由で、トリミングサロンで歯垢を取ってもらいたいと思うかもしれません。
しかし、獣医さんが麻酔をして除去すべきと判断した場合、獣医さんに除去してもらった方が良いでしょう。
愛犬に余計な負担をかけないためにも、日々ケアしてあげることが大切です。
犬の歯石取りにかかる費用
ここからは、犬の歯石を除去する際にかかる費用について紹介していきます。
歯石取りの費用
犬の歯石取りにかかる費用は、平均で2万円〜4万円が相場と言われていますが、全身麻酔の有無や病院によっても少し差があるようです。
全身麻酔をすることになると、血液検査や血管確保などが必要となり、無麻酔と比べると料金が高くなります。
ペット保険の対象になる?
ペット保険に入っている場合であっても、歯石取りは予防や美容目的の場合は保険が適用されず、治療となった場合に対象とされることが多いです。
無麻酔の場合は回数が多くなる
歯石取りは一回きりというわけではなく、人と同じように定期的に行う必要があります。
無麻酔のデメリットとして、全身麻酔であれば一回で終わるような作業でも、治療が終わるまでにより多くの回数がかかってしまうことがあります。
定期的にチェックしてもらう
普段の歯磨きの仕方や、個体差によって歯石の付くスピードが異なるので、定期的に犬の保健指導を受けてチェックしてもらうことが重要です。
度々チェックしてもらうことで、歯石の付いてくるタイミングが掴めるようになったら、そのサイクルで歯石取りに連れて行くようにしましょう。
自宅でのケアで回数を減らす
病院へ通う頻度を減らすには、自宅での歯磨きが有効です。
一度歯石取りをすると安心してしまいがちですが、その後も定期的に歯石取りをしなければ、せっかく治療した歯肉炎や歯周病もすぐに悪化してしまうので気を付けましょう。
▼犬の歯磨きのやり方についての記事はこちら
歯石取り手術ができる年齢
全身麻酔をすることになるので、年齢によっては危険なのでないかと気になってしまう人もいるでしょう。
歯石取りができる犬の年齢は、何歳から何歳までくらいなのでしょうか。
歯石取りは何歳からできるのか
犬は子犬の頃の歯が一旦抜けた後に、大人の歯である永久歯が生えてきます。
人と同じように、永久歯が生えてきてから歯石取りを始めるのが良いとされています。
歯磨きも始めておく
歯磨きなどの自宅でのケアがその後の歯石の付き具合にも関わってくるので、歯磨きもこの頃には始めておきましょう。
最初からきれいに磨くのは難しいので、まずは口の中を触られることを嫌がらないように、慣れさせることから始めましょう。
歯石取りは何歳までできるのか
何歳まで全身麻酔での歯石取りができるかという点ですが、これもまたその犬によって変わってきます。
一般的に、大体の目安は12歳くらいまでと言われています。
これは高齢になると全身麻酔の歯石取りをしたことが原因で、体調を壊してしまう犬もいる為です。
獣医師に相談する
何歳から何歳までということに関わらず、動物病院で獣医さんに相談してみるのが一番良いでしょう。
12歳までという年齢は、あくまで目安として考えておくことが大切です。
ガムやジェルで犬の歯石対策
たくさんの歯石が付いてしまった場合は、基本的に病院に頼るしかありません。
普段から歯垢や歯石を付かないようにケアをすることはとても大切です。
少しの歯石であれば取れたという声も聞くので、試してみる価値はあります。
また、歯磨きを嫌がる犬でも、歯磨きガムや、塗るだけ、飲むだけといった商品には興味を示すことも多いため、通常の歯磨きと併用すると良いでしょう。
液体歯磨き
水に入れるだけで歯石を付きにくくする『液体歯磨き』という商品があります。
液体歯磨きの使い方
液体歯磨きは、普段愛犬に飲ませている水に入れて使用します。
または、ガーゼのような柔らかい布に染み込ませて、歯茎をマッサージするように拭くことも可能です。
液体歯磨きの効果
液体歯磨きには亜鉛やビタミンBが配合されており、口の中の菌の繁殖が抑えられ、歯垢をつきにくくする効果があります。
口臭予防になることもあり、人気の商品でもあります。
歯磨きガム
『歯磨きガム』は歯垢の除去以外にも、犬のストレス発散にもなるのでおすすめです。
昔からある牛皮のガムが定番ですが、牛皮にアレルギーがあったり、いまひとつ愛犬が興味を示さない場合は、小麦などの穀物が原料になったガムを与えても良いでしょう。
歯磨きガムの選び方
ガムは犬が噛んで初めて効果を発揮するので、愛犬の興味をそそるようなガムを与えることがポイントになります。
犬は基本的にニオイの強さで食べ物を好むことが多いので、ガムを選ぶ時にはニオイの強いものを選ぶと成功する確率が高くなります。
スプレー・ジェル
歯にかけるだけで歯石を取りやすくする『歯磨きスプレー』や、歯に塗るだけの『歯磨きジェル』などもあります。
スプレータイプ
スプレータイプは犬の口内に一日1回~数回スプレーするだけで口内のケアができるものです。
前述した液体歯磨きのように、飲み水に溶かして使えるタイプもあります。
手軽に口臭ケアや歯石ケアができるので人気です。
ジェルタイプ
ジェルタイプは指に直接ジェルを取って、歯に塗って使います。
指で塗り込むタイプのものから、塗ったままでケアできる商品もあります。
歯磨きを嫌がる犬に、口の中を触られるのを慣れさせる練習にも良いでしょう。
歯磨きと併用すること
歯垢がひどい場合、上記のようなグッズだけで隅まで除去することは難しいでしょう。
日頃のケアとして使用するのは良いかもしれませんが、歯磨きと併用して歯石を予防しましょう。